第10章 まったり休日
―時は少し戻り、ティアナたちが街に出かけたばかりの頃。
リヴァイもまた街へ行く用事が出来ていた。
・*・
「チッ、ついてねーな」
リヴァイはインクの切れた壺を見て舌打ちをする。
片付けても片付けてもなぜこんなに書類があるのかは疑問だが、
それが壁外調査前後の恒例だ。
そしてそれを見越して多めにインク壺を備えておくのが常で
あったのだが、どうやらそれでも足りなかったらしい。
調整日ではなかったが、急ぎということでエルヴィンに許可を
貰おうと、リヴァイは外出の用意をしてから部屋を出た。
「エルヴィン、俺だ」
「リヴァイか。入ってくれ」
ドアをノックし、団長室の扉を開ける。
中にはエルヴィンが先ほどまでのリヴァイと同様、執務をこなして
いるだけで誰もいなかった。
「どうした、何かあったのか?」
「いや、インクが切れただけだ。これから街へ行ってくるが、
いいよな」
「あぁ、構わないよ。ついでに私の分も買ってきてくれると
ありがたいのだが」
「…了解だ」
そう返事をして街へ向かうリヴァイはまだ、ティアナと会うなんて
考えもしていないのだった。