第2章 その日の記憶
ー通り説明してくれると、女性兵士は立ち上がった。
「じゃあこのパン食べてまた寝ようね」
「ありがとうございます」
そしてパンと水を渡されて、親切なその兵士は出ていった。
ティアナはそれを見送って、ありがたく頂いたものを食べる。
お父さんどうしてるんだろう……。
これから、どうすればいいのだろうか。
思考をそらさなければ直ぐに母が食われたあの場面を思い出してしまう。
どんな風に巨人が人を食べるかなんて、知りたくもなかった。
「ウェ…」
吐きかけて、なんとか堪える。
これからこの壁の中は食糧難に直面するだろう。ティアナのような難民が増えるのだから当たり前だ。食べれたものは大切にしないと。
14歳のティアナが選べる道は、荒れ地の開拓へ行くか訓練兵になること。
母の最期を思い出すと巨人への憎しみがふつふつと湧き上がってくる。父もきっと助かっていないだろうと思う。
巨人への憎しみをたぎらせたティアナはこれからの道を決めた。
吐き気が収まり、床に寝転がって目を瞑る。
ティアナはあることを決意し、再び目を開けたときには、その目に感情は宿っていなかった。