• テキストサイズ

イロイロ【気象系BL】

第16章 おとぎのくにの 8



やがて馬車は大きな噴水のある広場前に出た。

その広場に面した一角に教会があるのが見える。

孤児院は教会に併設されていると聞いていたけれど、馬車は教会の前を通り過ぎて裏にまわり込んでから止まった。

そこに孤児院の入口があった。

門のところで優しそうなご老人と子どもたちが待ち構えている。

きっとあのご老人が院長なのだろうと思う。

「さとさま!」
「ユーリ!」

馬車から降りるとユーリが駆け寄ってきて、ぎゅっと私の手を掴んだ。

前回は戸惑うばかりだったけれど、今回はすんなり受け入れられる。

「ほんとうにきてくれた!」
「だって約束したもの」
「うん!またあえてうれしい!」
「私も嬉しいわ」

まっすぐな言葉とキラキラした瞳が彼の喜びを伝えてくれる。

これだけ喜んでもらえると来てよかったと思える。

ユーリの笑顔を見ていたら自然と緊張も解けていって、ほんわかとした気持ちになったのだけれど。

「いんちょうせんせい、さとさまだよ!」

私たちのやり取りを呆然と見ていたご老人にユーリが声を掛けると、院長はハッと我に返って慌てだして。

「こら!ユーリ!離れなさい!」
「やー!さとさまー!」

無理やり引き離されそうになったユーリがしがみついてくる。

先日と全く同じ展開に思わずクスッと笑ってしまった。

/ 362ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp