第16章 おとぎのくにの 8
あと、相談してよかったと思ったのが手土産のこと。
お義姉さまはいつも子どもたちが喜びそうなものを手土産に持って行っていたそうだ。
それが毎回のことならば、子どもたちは今回も期待しているだろう。
教えてもらえて助かった。
子どもたちが喜ぶならば私も何か用意したい。
もう少し詳しく話を聞くと、お義姉さまは毎回持って行く品を変えていたようで、料理長の作ったものを持って行く時もあれば、街でお菓子や果物などを購入して行くこともあったらしい。
きっとその際に街の様子を見たりもしているのだろうし、街でお金を使うことで経済的な何かもあるのかもしれない。
でも私には街での買い物は難易度が高いなと思っていたら、侍女長も察したようで。
子どもたちはうちの料理長の作るクッキーが大好きなようですよと教えてくれたから、今回は素直に料理長にお願いすることにした。
「忙しいのに時間を取らせてごめんなさい。でも色々教えてくれてありがとう。とても助かったわ」
「とんでもありません。お役に立てたなら幸いです。これからも私で役に立てることがあるのなら、いつでもお呼びください」
最後にお礼を伝えると、侍女長はにこりと微笑んだ。
その言葉は本心からの言葉に聞こえたし、嬉しそうに笑う顔はどこか安心したようにも見えた。
こちらに来てからずっと私が避けてしまっていたから、色々と不安にさせてしまっていたのかもしれない。
彼女は何も悪くないのに本当に申し訳なく思って。
もう誰のことも避けるのはやめようと改めて決心した。
秘密を明かすわけにはいかないから、どうしたって専属侍女たちと同じように接することは出来ないけれど。
うまく付き合える距離感を探っていくことは出来るはずだ。