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イロイロ【気象系BL】

第16章 おとぎのくにの 8



でも、知らなくても仕方がないのかなと思ってしまうところもある。

王都に居た時は行動が制限されていて、屋敷から出ることすら許されていなかったから。

本を読んだり家庭教師から学んで知識を得る以外の方法なんて、あの頃の私たちにはなかったと思う。

でも今はちがう。

「これからは今まで知らなかったことを知っていきたい」

初めて森へ行った時、マサキに教えてもらいながら自分の目で見て触れて経験して、白黒だった知識に色がついていくようだった。

ただ人から話を聞いたり文字を読んだりして知識を得るのとは全くちがった。

あんな風に自分で経験しながらもっとたくさんのことを学んでいきたいと思う。

今はあまり制限されることなく自由に動ける環境にいるのだから。

「カズも付き合ってね」
「はい、もちろんです」

素直にお願いすれば、カズは嬉しそうに微笑んだ。

「どこへでも、何をするのでも、必ずご一緒します」
「ありがとう、カズ」

当たり前にやってくると信じていた未来が突然消えてしまって。

やっと少しずつ現実と向き合えるようになってきたけれど、まだまだ不安は消えない。

この先どうなるのか、どうしたいのかもまだ分からない。

だから今は自分の心のままに動いてみよう。

その中で新しい未来へ続く何かが見つかればいいなと思う。

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