第16章 おとぎのくにの 8
-サトside-
マサキは一週間ほどで全快して戻ってきた。
「長く休んでしまって申し訳ありませんでした」
久しぶりに顔を見ることが出来て嬉しかったのに、マサキはやって来るなり頭を下げてしまったから思わず苦笑してしまう。
体調不良なんて仕方のないことだし、そもそも今回はマサキは何も悪くないのだから謝る必要なんてない。
それでも頭を下げるマサキは真面目だと思うけど、あんまり謝られるとまたカズが気に病んで落ち込んでしまう。
「謝らないでいいから…」
マサキに顔を上げてもらって、ちらりと目線だけでカズを見る。
頭を下げるマサキを見たカズは既に少しシュンとしてしまっていて。
つられるように目線を動かしたマサキにはそれだけで私の言いたいことがしっかり伝わったみたいだった。
「もう大丈夫なの?」
「はい!すっかり元気です!お医者さまとお見舞いの品をありがとうございました」
マサキはそれ以上謝ることなく明るい笑顔を見せてくれて。
自分で言う通り、顔色もいいし本当に元気そうで安心する。
「カズもありがとうね」
「いいえ」
お日様みたいな笑顔を向けられたカズもホッとしたようで。
私と目が合うとにこりと笑顔を見せてくれた。
そんな私たちをまじまじと見て、ふとマサキが首を傾げた。
「二人とも何かちょっと変わりました?」
曖昧なようで鋭い指摘に思わずカズと目を見合せてしまう。
マサキの言う通り、確かに私たちは変わったと思う。
でもそれは内面的なことで、そんな見て分かるほどの変化があるとは思っていなかった。