第15章 おとぎのくにの 7
料理は彩り豊かで見た目も綺麗なうえ、どれも外で食べやすいよう工夫されている。
料理長の心遣いが伝わってきて嬉しくなる。
「いただきます」
「サトさま、私が…」
「ううん、大丈夫」
カズが給仕しようとしてくれるのを断って自分で料理に手を伸ばす。
一口サイズのサンドイッチを摘んでそのまま口に運んだ。
お行儀が悪いけれど、今は許されるはず。
自然の中だからかな?
それともたくさん歩いたから?
最近はほとんど義務感だけで食事を口にしていたけど、今は素直に美味しいと感じる。
自然と次のものに手が伸びたのを見て、カズが嬉しそうに顔をほころばせた。
私が2つめのサンドイッチを口にしたら、カズとマサキもようやく料理に手を伸ばし始めた。
「おいしいですね!」
「遠慮しないでたくさん食べてね」
いつものように勢いよく食べていくマサキと、一口が小さいながらもちゃんと口を動かしているカズを見て安心して。
私は次は何を食べようかと視線を動かしたら、そこにラップサンドを見つけて。
思わずひゅっと息を飲んだ。
一瞬で初めてピクニックをした時の記憶がよみがえってくる。
意識的に思い出さないようにしていたけど、やっぱり無理だったかと諦めのような気持ちが湧いてくる。
あの時はこんな森の中じゃなくて、王都の屋敷の庭で。
カズとジュンが屋敷を出られない私のために計画してくれたんだ。
カズが用意してくれたものの中にラップサンドがあって、その時初めて食べたんだよね。
ショウもいて、4人で笑いあって。
すごく楽しかったな…
思い出してしまった記憶に胸が締め付けられて、途端に食事が喉を通らなくなった。