第12章 贈りもの 『キミのとなりで ずっと』より
-Nside-
「ニノ、手出して」
突然、智にそう言われて。
「手?なんで?」
何が何だか分かんないけど、とりあえず言われるままに手を差し出してみたら、その手を掴まれて。
「これあげる」
手のひらにころんと何かが転がり込んできた。
飴ちゃんのやり取りくらいの気軽さでもらったその何かは、飴ちゃんよりは大きくて。
智だから変なイタズラはしないと思うけど、何か分からないものが手の中にあるのはちょっと怖い。
「なに?」
聞いてみても、智はニコニコしてるだけで教えてくれないし。
ビクビクしながら、そろっと開いた手のひらの上にあったのは…
「え?本当になに?」
カラフルな何かなんだけど、パッと見ただけじゃ何だか分からない。
その何かを目の前まで持ち上げて、よくよく見てみたら。
「わ♡可愛い♡」
それは小さな動物の置物で。
「シーサー…?」
修学旅行中にたくさん見たシーサーみたいだけど、なんかちょっと違う。
シーサーの形はしてるんだけど、なんかすごいカラフルで。
ものすごい表情が豊かだ。
沖縄で色んなシーサーを見たけど、そのどれとも違って、とっても個性的で。
でもシーサーって分かる。
この不思議だけどめちゃくちゃすごい感じって…
「これ智が作ったの?」
「そうだよ」
やっぱりそうだった!
俺がすぐ分かったからか、智は嬉しそうに笑った。