第11章 キミ色フォルダ Root Green
そんなニノとの関係が変わったのはごく最近。
きっかけは俺の失恋だった。
「別れたいの」
ある日の放課後、付き合ってた彼女に裏庭に呼び出されたと思ったら突然別れを切り出されて。
「え?」
俺にしてみたら、寝耳に水。
なんの前触れもなく本当に突然だった。
だって昨日もデートしたよ?
今まで喧嘩したこともないし、俺は順調そのものだって思ってたんだけど…
「相葉くん、カッコいいし優しいけど、なんか思ってたのと違ったってゆーかぁ」
驚く俺にはお構いなしで一方的にボヤっとした理由を告げられて。
「だから別れたいの。ごめんね?」
全然悪いとは思ってなさそうな軽い口調で謝られた。
髪の毛を弄りながら、くねくねして。
小首を傾げて上目遣い。
自分が可愛いって分かっててやってるんだろうなっていうあざとい仕草。
今まで可愛く見えてたソレが、この時は全く可愛く思えなかった。
いきなり別れを突きつけられて、ショックを受けてないわけじゃないんだけど。
いきなり過ぎて頭がついて行かないというか。実感が湧かないというか。
ちょっと呆然としちゃって。
ろくな返事も出来ずにいたら
「じゃあ、そういうことだから。今までありがとね。バイバイ」
彼女はあっさり手を振って去って行った。
俺は引き止めることも出来ず、黙って遠ざかる背中を見送ってしまった。