第8章 こわい夢 『キミのとなりで ずっと』より
「早く保健室に行って寝ようね」
「やだぁ…いかない…」
かなりしんどそうなのに、いやいやと首を横に振って駄々をこねるカズ。
「なんで?」
「しょおちゃんといっしょにいたいもん…」
「………っっっ///」
ああ、もう!!!
可愛すぎて、萌え死にそうだ!
カズは普段あんまり俺にワガママ言ったりしないから。
こんな時に不謹慎だとは重々承知しているが、子どもみたいに甘えてくれるカズが可愛くて可愛くて、嬉しくて堪らない。
「翔、顔がヤバいぞ」
潤に突っ込まれても緩む頬をどうすることも出来ないまま、保健室に駆け込んだ。
散々ごねてグズっていたカズは、保健室のベッドに寝かせるとすぐに寝息を立て始めた。
熱を測ってくれた保健の先生に、思ったよりは熱が高くないと言われてホッとする。
泣いて興奮したせいで余計熱が上がってしまっていたのかもしれないな。
顔色もさっきまでよりだいぶマシになった気がする。
智くんは安心したようにカズの頭を撫でると、潤と一緒に一足先に教室に戻っていった。
きっと心配して待ってるであろう雅紀たちに報告してくれるんだろう。
カーテンで仕切られた空間にカズと2人。
スヤスヤと穏やかに眠るカズの寝息だけが聞こえる。
可愛い寝顔はいつまででも見ていたいけど、まだ頬に残る涙の跡にまた後悔と反省が押し寄せた。
気付けなくてごめんね。
泣かせちゃってごめんね。
涙を拭ってあげながら心の中で何度も謝る。
ちゃんと起きてる時にも謝りたいから、早く元気になってね。
あとは…
カズのためにも、俺のためにも!
カズがもう怖い夢を見ませんように!
願いを込めて熱い額にそっとキスをしたら、寝ているはずのカズが笑ってくれた気がした。
end