第7章 誕生日 to SATOSHI
「そんなにお祝いしたかったなら、なんで先に聞いとかなかったのさ?」
「…聞くの忘れてたんだもん」
雅紀が尤もなことを聞くと、ニノは気まずそうに視線を泳がせた。
「それじゃ悪いのはニノじゃん!こんなのただの八つ当たりじゃん!」
「なんだよ!雅紀のくせに正しいこと言うな!ばか!」
雅紀が呆れたように文句を言うと、ニノが逆ギレした。
「だから八つ当たりするなっての!」
「だって…」
雅紀がはぁーって大きなため息を吐いたら、ニノはシュンと項垂れてしまった。
正しいことって認めちゃってたもんな。
自分でも理不尽な態度とってるって分かってるんだろう。
でもそれも全部俺のためなんだと思えば嬉しい。
肩を落としてちっちゃくなってしまったニノを両手でぎゅっと抱きしめる。
「ありがとう、ニノ。その気持ちだけですごく嬉しいよ」
「ごめんね、智…」
「ごめんねなことなんて何にもないよ?」
「でも…」
俺の腕の中でイジイジと落ち込んでるニノも可愛いけども。
そろそろ笑顔が見たい。
「ニノ、笑って?俺はニノに笑顔でおめでとうって言ってもらえるのが一番嬉しいな」
じーっとニノの目を見て伝えたら、ニノは少し考えた後にコクリと頷いて。
俺の腕の中、超至近距離でにっこりと笑った。
「智、お誕生日おめでとう」
可愛い可愛い花のような笑顔。
うん、本当にこれが一番嬉しいプレゼントだよ。
でもニノは納得いかなかったみたいで。
俺の好きなパイナップルジュースをプレゼントだって言って買ってくれて。
「もう覚えたから!来年はちゃんとお祝いしようね♡」
来年の約束までして、やっと満足したみたいだった。
「ありがとう、ニノ」
色んな意味で忘れられない誕生日になったよ。
こんなに想ってくれる友だちがいる俺は幸せものだ。
end