第7章 誕生日 to SATOSHI
11月26日。
今日は俺の誕生日。
………なんだけど。
「ねぇ、ニノ。ごめんってば…機嫌直してよ…」
さっきから平謝りの俺。
目の前には不機嫌全開のニノ。
「別に怒ってないもん…」
ツーンとそっぽを向いちゃってるニノは、確かに怒ってはないのかもしれないけど。
拗ねてるじゃん!
口尖らせちゃってるじゃん!
まぁ、そんな顔しててもニノは可愛いけどね。
「ふふっ」
「なに笑ってるのさ!」
可愛いなーと思ったら、無意識に笑っちゃってたみたいで。
ニノの目がキッとつり上がった。
今度こそ怒らせちゃったみたい。
でもほっぺをパンパンに膨らませて、怒ってるんだぞーってアピールしてるニノはやっぱり可愛い。
「ごめんね、ニノは怒ってても可愛いなって思ったの」
「むぅ…」
頭をなでなでしながら謝ったら、ほっぺを膨らませるのはやめてくれたけど、まだ口がへの字だ。
「怒ってても可愛いけど、やっぱり笑顔の方が好きだな~。二ノの可愛い笑顔が見たいな~」
「もう、ニノ!大ちゃん今日お誕生日なんだよ?お祝いどころか気を遣わせてどうすんのさ!」
もう一押しかなって頑張ってたら、ずっと黙って様子を見ていた雅紀が、見かねたように横から口を挟んできた。
「だって…」
ちょっと怒ったような雅紀の口調に、ニノの目が潤む。
ヤバい!
泣いちゃう!
「わっ!ニノ!泣くなよ!」
「ごめん!俺が悪かったから!泣かないで!」
雅紀と2人してワタワタ焦ってしまう。
俺たちはとにかくニノの涙に弱いんだ…