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となりの彼。【黒子のバスケ短編集】

第33章 特別編:バレンタインキッス。



*scene4:しあわせ12分割*



「うーん…」
「リコ?どうかした?」
「ううん いつサプリ投入しようか考えてたの」
「…リコは劇薬か何か作るつもりなの?」



キッチンに漂う甘い香りの中で
私相田リコと友だちの公子で
バスケ部のみんなへのバレンタインチョコを作っている。

「それにしてもリコ よく料理する気になったね」
「嫌いじゃないのよ?みんなに振る舞ったこともあるし」
「うわぁ…」
「…何よその顔は」
「私 バスケ部入ってなくて本当によかった…」
「はぁ!?」



サプリを入れようとするのを公子に止められながら
私はなんとか後は焼くだけのところまで行程を進めた。
オーブンに生地を入れ すこし休憩をとる。

「でさぁリコ 聞こうと思ってたんだけど」
「ん?なに?」

「バスケ部の誰が本命なの?」



かじっていたクッキーが床に落ちる。



「はぁ!?」

「やっぱり日向くん?それとも伊月くん?
あーでも大穴で木吉くんも…」
「ちょ そんなんじゃないわよ!」
「またまたぁ」



そんなこと 考えたことがなかった。
高校に入学して 鉄平たちに誘われてバスケ部に入ってから
ほぼ毎日バスケのことばかり考えていた。

鉄平が私たち2年を集めて 花宮に膝を壊されて
それから日向くんが一層頑張りだして
春になって 黒子くんや火神くんたちが入部して
初めと比べものにならないくらい 誠凛は強くなった。

みんなをもっと勝たせてあげたい。
…ううん みんなと一緒に
私も勝ちたい。

だから今の私には
恋愛にまで気をまわす余裕なんてないんだ。



「私が好きなのはね」
「うんうん」
「…みんな!」
「えー!?引っ張っておいてそれはないでしょ…」



負ける悔しさは嫌と言うほど知っている
仲間を傷つけられる悔しさだって…

だからもっと練習して もっと試合で勝って
たくさん笑いあえるチームになろうね。



end**
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