第9章 迷い
「………本気?」
「……-っ」
愛してる。
愛してない。
大好き。
大嫌い。
言葉はなんのためにあるの?
こんな言葉がいいたいんじゃない。
言葉にしても伝えられないなら、なんのために言葉はあるの?
いっそのこと、言葉なんてもの、無ければいい。
体を重ねるだけで、それだけで十分。
言葉なんて、心なんてあるから、悲しくなるんだ。
快楽のためだけに生きる、動物のように、心なんて、言葉なんて、いらない。
お願い。
「しーちゃ……………っ」
「なに?」
「嫌いにさせて……………」
「……………うん」
「どーしたら、しーちゃんを忘れられる?」
「……………ん」
どうしたらこの人を嫌いになれるんだろう。
どうしたらこの人を、諦められるんだろう。
あと何回、涙を流したら綺麗に流れていってくれるんだろう。
「………しーちゃん」
「うん」
「やっぱり花には、出来ない……っ」
嫌いになんて。
離れるなんて。
でも。
だけど。
「ごめんなさい……」
「すぐ泣くのな、お前ほんと」
枯れることのない涙を、しーちゃんはずっと拭ってくれたけど。
次から次に溢れ出す涙を止めることはできなくて。
最後に交わしたキスは。
全然甘くなんか、なかったよ。
神様お願い。
時間を、巻き戻して。
この出会いを、なかったことに、して。
勝手に神様を敵にまわしておいて。
お願い、なんて調子が良すぎる。
そんなことわかってる。
わかってるけど、神頼み以外に、何に頼ればいいのかわからない。
どーしたら、この気持ちが消えるのか、わかんないんだよ。