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依存愛-彼と過ごした3000日-

第8章 甘い蜜の、対価、代償







「…………」





しちゃった。
やっちゃった。
覚悟ならしてた、出来てた。
だけど。
しーちゃんのいなくなった冷たいベッドは、ご丁寧に現実を知らしめてくれる。
これが現実なんだと、教えてくれる。




「……っ、ぅぅ」




泣いても何も始まらない、終わらない。
してしまったことは取り戻せない。
夢の時間は終わっても、現実はずっと続いていく。
裏切りの一言が、頭をぐるぐる回ったところで今さら遅い。
何もかも、失ったんだ。
そばにいてもくれない、自分勝手な男のせいで。
子供が産まれる。
未来がある。
わかってたのに。
しーちゃんがいない今なら、冷静に頭は働くのに。
どーしても。
すがり付きたい。
みっともなくても愚かでも。
私はしーちゃんが欲しい。
それが答え。
やっぱりいくら考えても。
たどり着く答えはいつも一緒だ。











『今日は仕事何時頃終わる?』






ベッドへと身を預けながら操作した携帯。



『おはよー、7時くらいかな?』



すぐに既読され、返信がきた。


『ご飯いかない?』
『いいよ』
『職場近くのカフェで待ってるね』


すぐに。
『了解』、と『行ってきます』のスタンプ。


既読のまま、携帯を閉じた。




終わりにするんだ。
このまま付き合っていくなんて、出来ない。
もう終わりにしなきゃ。




しーちゃんの手を取ったあの瞬間。
私の頭には優生は、いなかったんだから。





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