第7章 『混濁』
「既読ついたし、終わったかなって思ってさ。ちょうど良かった。……ああ澪、新婚旅行来週だってな、楽しんでこいよ」
「あんたに言われると縁起悪いから止めて」
1歩、近付いてくる。
「花、おいで?」
いつもの、大好きな、声で。
大好きな、笑顔で。
『しーちゃん』との距離、数センチ。
1歩、足を出せば。
ぎゅーって抱きしめてもらえる、距離。
自分からは、来ないで。
花に、選ばせるんだ。
いつもそーやって、言い訳できない理由を、作るんだ。
花が自分で選んだんでしょ、って。
「花ちゃん?」