• テキストサイズ

依存愛-彼と過ごした3000日-

第5章 対峙


季節外れの雪がちらつく中、真っ白い肌に真っ白いウエディングドレスがお似合いの澪は。



たくさんの人に祝福されて結婚式を、挙げた。




「花‼」



ブーケトスで投げられた真っ白い花束は、まっすぐに私の目の前に。



きれいな曲線を描いて、見事に私のてのひらにおさまった。




「……………え」




隣のしーちゃんを見上げると。



「もらっとけば」



花束と私を交互に見て、可笑しそうにそう言って笑った。



「なに?」




「いや、澪からの宣戦布告?」

「え?」

「なんでもない。あとで澪に聞けば」




可笑しそうに笑うしーちゃんの行動が全然理解出来ない。
意味が、わからないときがこう、多々あるんだよね。




「花束、似合ってるよ、かわいい」



首をかしげてぽかんとしてる私に、しーちゃんのあったかい左手が伸びてきた。



「次は、花の番、てこと」
「私?」
「澪なりの、牽制だろ」
「?」


3月とはいえ、季節外れの雪がちらつく今日は、ドレスだけじゃかなり冷える。
しーちゃんは笑いながら、私に自分のジャケットを貸してくれた。



「ありがとう」
「いーえ」



ぶかぶかのしーちゃんのジャケットは、しーちゃんのぬくもりごと、すごくあったかい。
あったかさをもっと分けて欲しくて、ジャケットに頬を擦り寄せた。


だけど。



「しーちゃんの、お家の匂いするね」


「え?」

私の知らない、しーちゃんの香り。

しーちゃんの、お家の匂い。




あの頃とは、違う香り。




「ゆーき」



気まずい雰囲気を壊してくれたのは。



後ろから近づいて来た数人の男の人の明るい声。




「なに?こんなかわいい子、いた?」

「結城、もう手つけちゃったの?」

「かわいいね」




急に数人に囲まれて、思わず隣のしーちゃんの腕にしがみつく。



「紹介してよゆーき。1人くらい回せって」


しゃがみこんで顔を覗き込もうとする男の人から、顔を反らしてしーちゃんの後ろへと隠れた。

「騙されちゃだめだよー?こいつ愛妻家だから」



え?



「だからこっちおいでよ」







「お前らうるせーよ、どっか行けって」













/ 256ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp