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依存愛-彼と過ごした3000日-

第4章 再会



「……………できた」
「何が?」
「……………子供」


年も開けて、どんどん寒さも厳しくなってきたこの頃。
年明け早々、1年で一番のビッグニュースになるだろう事実が、目の前の親友によって明かされた。


「え、と」
「うん、ごめん。自分でもまだ混乱してて」

そう言いながらグラスに入っている氷をストローで回しながら返事する澪のオーダーしたのは、オレンジジュース。
いつもコーヒーかアイスティーを注文するのに。
その時点で気づくべきだった。
カフェに入ってからも、自分から禁煙席に座った。
いつもならどちらでも、と答えるはずなのに。


「どーする、の?」

カフェイン抜きの飲みもの。
禁煙席。

お腹の子供を思っての行動。

それだけで答はもちろんはじめからわかってる。

「結婚、する」
「うん」
「驚かないの?」
「産むのかなって、思ったし」
「そ、だよね」

目の前のジュースに視線を落としながら、澪。

「で、ね?」
「うん?」
「結婚式、お腹目立たないうちにあげようと思って。」
「うん」
「3月なの」
「……………急、だね?」


もう1月も半分終わってる。
あと2か月で、式ってあげられるものなの?

「花、これる?」
「もちろん、行くよ?何があっても、澪の結婚式だもん、行くに決まってるよ」
「ありがと、花」
「うん」

澪が、結婚。
妊娠。

いいなぁ。

「幸せオーラ、花にもちょーだい?」
「何いってんの?花だってラブラブじゃん。」
「澪さんには負けます」


結婚報告に妊娠宣言した人が、良く言うよ。

「花もいい顔、するようになったね」
「そう?」
「うん、綾瀬さんのおかげ?」
「……かなぁ?」
「愛されてんもんねー」
「だから、澪には負けるってば」
「花も充分、幸せオーラ漏れまくってるよー?」



あはは、なんて。
ふたり笑いあって、わけのわからない幸せ自慢大会なんかしちゃったりして。
しばらく笑いあうこと、数分後。
徐に澪の表情が、曇りだした。



「結城も、したよね、結婚」

澪の言葉に。
体中の動きが、止まる。

「花」

笑顔が、凍る。

「……知ってる」

「え」

「本人から、聞いたから」


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