第1章 甘いコーヒーと公安の男
もしかして気付いたのだろうか
「……あの、何か? 」
「あ、いえ。甘い方がお好きなのかな、と思って」
「あぁ、そうですね。いつもこれくらいは入れてます」
「もしかして、コーヒー苦手ですか? 」
バレたか……
「えぇ、まぁ」
「ミルクも追加しましょうか? 」
「ぜひお願いします」
公安店員の洞察力に関心しながら甘いコーヒーを啜る
「ところで、なぜコーヒーをオーダーしたんですか? 」
嫌な予感がする質問だ
「な、なんとなくです」
「なんとなく。ですか……」
「ごめんなさい。そのままで充分美味しいですよね」
「あぁ、いえ。大丈夫ですよ。ただコーヒーが苦手な方がコーヒーをオーダーする理由が気になっただけです。おひとりなら気兼ねなくカフェオレとか紅茶とか好きなものを自由に頼めるのに」
「そんなに気になりますか? 面白い方ですね」
「えぇ。僕こう見えても探偵なんですよ」
彼の目付きが一瞬だけ変わった気がした