第1章 甘いコーヒーと公安の男
シュウから突然の連絡を受け、私は警視庁公安部に所属する人間について調べていた。わかっているのはあだ名だけ。毎度毎度無茶ぶりを……とは思ったものの「ゼロ」と呼ばれる男のことはすぐにわかった。降谷零で間違いないだろう。生年月日と階級からはかなり優秀であることが推察できる。シュウに名前を伝えてその日の仕事は終了した
後日シュウから例の公安の男と接触するように電話で指示を受け、私はその男が偽名で潜入している喫茶店に向かった
これが降谷零か……
綺麗な顔だが、あまりのベビーフェイスに一瞬違う店員なのでは? と思い店内をキョロキョロしてしまった。シュウに写真データを要求しておけば良かったと後悔する。昔からデジタルとは相性が悪いのでメールはあまり使いたくなかった
彼が淹れたコーヒーに砂糖を入れて混ぜていると視線を感じて顔をあげる
降谷零が私を見ていた