【コナン・まじ快】薔薇を食べる【工藤新一・黒羽快斗】
第1章 プロローグ
「ただいまぁーー」
間延びした声を上げ、部屋に入るとベッドに倒れ込む桃の隣に新一が腰掛けた。
「お疲れさん、ありがとな」
「どういたしまして……あーー、あのエロ親父めっちゃ息臭かったし。私の胸しか見てないし。部屋に誘った途端、息荒くなったんだよ?最悪!誰がヤらせるかっつーの!」
唾でも吐きそうな顔をして、新一の腰に抱きつく桃に快斗は苦笑を浮かべてパソコンを片付け出す。
「ほら、ウィッグ取って、化粧落とさねぇとやばいことになんぞー」
「ん、快斗ウィッグありがとうね」
「どういたしまして」
「そういえば、言われた通り別の部屋のカードキー渡したけど…あれ結局なんなの?」
体を起こしアップにしていた髪を下ろし、桃は眉を寄せて快斗を見た。快斗は、新一と目を合わせるとニヤリと笑う。
「あー、あの部屋には…新一のお友達がいるんだよ」
「へぇ…新ちゃんのオトモダチかぁ…」
「そうそう、友達だ」
「…とても、頼もしそうなお友達ね」
「さすが、察しがいいな」
「伊達に2年も一緒にいないよ」
それなら大丈夫かと彼女は、立ち上がり背中に垂れたウィッグの後ろ髪を上げると新一に背中のファスナーを見せる。
「ねぇ…手伝って?」
快斗が口笛を吹き、新一は目を見開いたあと笑みを浮かべて「へいへい」とファスナーに手をかけた。
――――――――――――――
――――――
――
神澤は、意気揚々とホテルの廊下を歩いていた。時刻は夜の12時。片手にはこのホテルのスイートルームのカードキー。
目当ての部屋の前に着くと咳払いをし、ノックをした。
「藤堂くん、私だ。入るぞ」
カードキーでロックを開けて入る。ドアのロックが閉まると同時に神澤は部屋の奥へと進んでいく。
「さすがは、スイートルーム…って…な、なぜお前が!」
グレーのスーツを着た男が部屋に立っている。神澤は、その男をよく知っていた。顔を青くし、引き返そうとすると隠れていたスーツの男達に道を塞がれる。
「……バーボン…貴様の罠だったのか…」
「はい、神澤幸太郎さん…いえ、カルーア」
バーボン――降谷零――は、ニコリと神澤に笑いかけた。