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滅びた世界で貪る愛は果実の味がする

第1章 半透明の君


体中を食い散らかした天の助をベッドに寝せると、俺は服を着た。滅んだ世界で今更服を着る理由もないと思うけど、それでも俺は天の助以外に肌を見せたくなかった。俺の火傷や痣やレッグカットが刻まれた汚い肌を見て、泣いてくれるのは天の助だけだからだ。ベッドの上、食い散らかされて気絶している天の助の頭を撫でて、俺は外に出る。
「天の助、ご飯までには帰ってくるからな」
街に出た俺に、生き残ったメス共はすぐ声をかけてきた。無駄に膨れた汚らしい乳と尻を見せつけて、皮の形が良いだけで脳みそ空っぽな面で笑いかけてくる。このメス共は俺とセックスがしたいのだ。世界が滅びてしまっても、生き延びている俺が強いオスだと知っているから。
合計で十人の女に声を掛けられた俺は、全員をまとめて森の中に誘い込んだ。そうして、一人ずつ洞窟へ呼び込んで、俺を受け入れようとした股座に引き千切った手足を入れてやった。ぎゃあぎゃあと汚い声で泣き喚くメス共は、同じ泣き顔でも天の助のような愛らしさはなかった。不愉快なので、首を引き千切ってからミンチ肉にした。
「ただいま、天の助」
俺が帰宅すると、既に起きていた天の助は壊れた体のままに俺に抱き着いてくれた。可愛い天の助に、俺は口移しでメス共のハンバーグを食べさせる。天の助はところてんだから、脂っこいものは本当は苦手なのに、それでも俺が口移しをすると、一生懸命に飲み込んでくれる。十人全員分のハンバーグを食べると、天の助の壊れた体はようやく回復した。
「おかえり、雪彦」
天の助が、俺に向かって微笑みかけてくれる。それはまるで聖母ようでもあり、少女のようであり、娼婦のようでもあった。もう一度噛みついて、ぐしゃぐしゃに壊してやろうか。そんな最低の考えも浮かんだが、今は天の助と一緒にいたい気分だった。ハンバーグを食べてぽっこりと膨らんだ天の助のお腹は、妊婦さんのようで。本当に天の助が妊娠していたら、どれほど嬉しかっただろう。……でも結局、俺は嫉妬深いから、子供なんて生まれない方が良いのだ。
「愛してるぜ、天の助」
天の助の耳に囁けば、天の助は目の縁を赤くして。それでも健気に爪先立ちをして、答えてくれた。
「俺、も。雪彦のこと、愛してる」
壊れた世界の果てで、俺達は逢瀬を繰り返す。誰に祝福されることもなく、地獄にしか繋がらない俺達の道は、けれどもそれで幸せなのだ。
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