第3章 澤村大地~夜のミーティング~
「じゃ、お休み」
「大地、無理するなよ」
武田先生、烏養コーチ、3年生が集まってのミーティングが終わった。練習が終わり、晩御飯が終わったあとに主将会議がある。
「この後はマネージャーともスケジュール確認だよな?」
菅原が言えば、
「そろそろチーフマネが来るだろ」
旭が大きな身体を伸ばして答える。
ミーティング最中から欠伸をしていたのもあり、随分と眠たそうな感じだ。
「簡単にスケジュール確認するだけだから、皆は風呂入って寝ててくれ。後は俺とアイツだけで大丈夫だろ」
他の部員は先に風呂に入って、就寝準備を俺たちの分までしていてくれる。
「先生とコーチも気にせず先にどうぞ。俺たちより色々と大変でしたよね」
表立ってはいないが、合宿所の手配、様々な書類関係など学生の俺では考えられない大変さが大人にはあるはずだ。
「うーん、澤村主将のご厚意に甘えますかね、先生?」
烏養コーチが早くヤニを吸いたそうに武田先生に目配せをすれば、人の好い顔を形作る眉を下げ先生も頷く。
「失礼します、ミーティング終わりました?」
タイミング良く彼女が現れてくれた。
「お、お疲れチーフマネ。澤村とミーティングか?」
「お疲れ様です!」
白い歯を見せる笑顔が男だらけのむさ苦しい空間に爽やかな風を運んできた。
「さ、大地始めよう」
俺の隣に腰掛け合宿ノートを開く。
「ちょっと待て」
烏養コーチが何か思い出したかのように俺達の会話を遮った。
「俺ら居なくなったらお前達2人きりか!流石に思春期の男女2人が夜に...はマズくないか?」
そういえば...と顔を見合わす菅と旭。
アイツを見ると"へ?"とでも言いたそうな顔をしている。
「いや、話すだけっすから」
苦笑いでやり過ごす俺に
「澤村くんとチーフマネなら大丈夫ですよ」
先生の助け舟で皆はそれぞれの就寝支度に取り掛かった。