第3章 水
俺は1人、人気のない河川敷を歩いていた。
俺は先程見た山、もしくは森を目指して市場や民家を突っ切ってずっと歩いてきた。
やはりとても栄えている駅だった。
民は俺を見るといらっしゃい、長旅ご苦労さん、と声をかけてくれ、中にはおやつでも食べてくかい、と誘ってくれる者もいる。
市場には珍しいものがたくさん売られていて、武具を取り扱う店もあるようだった。
市場で立ち止まりたくもなったが、それよりも俺は駿城から見た緑に圧倒されていた。
どうしてもそれを感じたかったのだ。
顕金駅は鉱山はあったが、この奥山にあるような豊かな自然はない。
生まれて初めて、自然の中でくつろぐということをしてみたかった。
その思いだけを胸に道を進み続けると、徐々に民家が減っていき…
道も険しくなっていた。
景色はいつの間にか緑だけになり、俺はようやく森の中に入ることが出来たのだと気づいた。
そのまま歩き続けると、澄んだ音が聞こえたのだ。
それが川のせせらぎだと気づき、音の鳴るほうへ歩いていてたどり着いたのがこの大きな川だった。