第5章 俺の進む道─寺島上京物語─
◆
寺島「いらっしゃいませー」
はーいバイト中でーす。
さっきの?ああ喫茶店でやってた勉強ならもう終わったよ。
そこに1人のお客さんが。
(あれっ、誰かに似てるなー...)
なーんか似てる、うん似てるよ。誰だっけー...。
寺島「───あっ!!」
店員「どした?いきなり声出して」
寺島「あぁすいません、何でも...」
分かった、夏海ちゃんだ。夏海ちゃん本人じゃないんだけど、横顔すげー似てる。
(──今頃何してるかなー...)
あぁぁぁぁぁあああ連絡先交換しておけばよかった!!すげーメールしたい!!!
そんなこと今更叶わないんだけどね、次会ったときは絶対交換してもらお...。
◆
すっかり馴染んだ東京での生活。しかし声優にはまだなれそうにもない。簡単になれるものじゃないし、誰にでも出来ることでもない。もしかしたら声優になれずにずっとバイト生活...なんてこともあり得るよね。
声優への道はまだまだ。もしかしたらその道に終わりなんてないのかも。声優になった後も、実力社会を生き抜いて活躍しないと食っていけないし。
俺の夢。声優になること。
───夏海ちゃんと2人で。
はやく会いたい。そのためには1歩ずつ確実に進んでいかなければならない。それは決して容易なことではない。が、俺は声優になれないなんて思ってないし、後戻りするつもりもない。
夏海ちゃんも声優を目指す。夏海ちゃんならなれるって俺は信じてる。...俺も頑張らないとな。
いつか絶対、夏海ちゃんと共演するんだ。
俺は俺の進む道を、1歩ずつ、確実に歩んでいる。