第2章 声優
寺島「あ、やっぱり夏海ちゃんもアニメ好きなんだ。」
夏海「えっ?知ってたんですか?」
寺島「夏海ちゃんのバッグについてるストラップ。それ、アルちゃんでしょ?俺も好きなんだー」
あ、これ美香にもらったやつだ。
夏海「美香にもらったんです、4月に。」
寺島「その子ってよく一緒にいる子だよね?」
夏海「はい。美香、アニメ大好きで、絵も上手いんですよ。私の幼なじみで。美香と昔からよく一緒にいたもんで、私もアニメ好きになって...。美香はイラストレーターになるって夢をしっかり持ってて、それに向かってちゃんと進んで...。」
寺島「───夏海ちゃんも進めばいいんだよ。」
夏海「...?」
私は寺島さんの言っている意味が正直分からなかった。
寺島「まだ1つに決める必要なんてないよ。自分の好きなことに打ち込んでみたり、もっと好きになってみたりすればいいんじゃない?」
夏海「寺島さん───」
───救われた気がした。
寺島さんの言葉で、気が楽になったようだった。今まで特に何も考えず、ただ毎日を過ごしていた私。その私の進みたい道の先が、少し開いたような気がした。