第1章 出会い
寺島「ほんと夏海ちゃんに来てもらえて助かるよ、わざわざごめんね...」
夏海「いえ、全然...」
──待てよ、いつから寺島さんは私のことを『夏海ちゃん』と下の名前で呼ぶようになったんだ...?いつから...
でも嫌ではなかった。寺島さんからなら『夏海ちゃん』って呼ばれても違和感がないっていうか、むしろそうしてほしいっていうか...
寺島「...ちゃん.....夏海ちゃん!」
夏海「は、はい!」
寺島「ぼーっとして、大丈夫?」
夏海「す、すいません、ちょっと考え事しちゃって...」
寺島「それってもしかして、俺のこと?」
夏海「えっ、そ、そんなことはっ...!!!」
寺島「ふふっ、顔赤い!」
夏海「えっ...」
まずい、完全に遊ばれてる...
ま、まぁ寺島さんのことを考えてないっていったら嘘になるけど、そ、そんな恋心みたいなのは...
部員「なになに?寺島と大久保さんってそういう関係?」
夏海「いやっ、そんなんじゃ──」
寺島「そうそう!そんな関係!!」
夏海「えっ、ちょっ!!」
寺島さんは肩を組んできた。
顔近っ...こんなに男の子と近づいたことないよ...
部員「ははっ、お前ほんと冗談キツいわ!」
寺島「やっぱり?」
あ、分かってるんだ冗談だってこと。寺島さんって元々こういう人なんだ。周りを和ませて、明るくして...だから演劇部ってこんなに楽しそうなんだな...。