第5章 高熱※
少し遡り、サニー号。
「なぁルフィ、レイラ、見てねぇか?」
「さっきそこにいただろ。」
サンジは、ルフィに聞いたのが間違いだったと、手で顔を覆った。
冬島の海域に入ってから、寒そうにしてたレディたちのためにと温かい飲み物を用意するため、キッチンに籠っていたのだ。ナミや、ロビンには渡せたけれど、愛しい彼女、レイラだけ、姿が見えない。
「どこ行ったんだ……?」
あちこち船内を探すも姿は見えない。
「なぁ、ほんとに知らねぇか?」
同じ答えが返ってくるのが分かっていても、サンジは再度ルフィに聞いた。
「知らねぇって。いねぇのか?」
「あぁ。船内どこ探してもいねぇんだ…まさか…」
サンジが海面を見つめると、ルフィも視線を合わせて言った。
「…だぁっ!海に落ちたのかぁ…?」
ルフィと二人で騒いでいると、隣の船からローが現れた。
「何を騒いでる。黒足屋、お前の愛しい女は俺のとこにいるぞ。」
言ってる意味が分からない、何故、ローの所なんだ…?
「…はぁ?なんでローのとこに!てめぇまさか!手ぇ出したんじゃねぇだろうな?」
「んなことするかっ!病人に!悪いが、運ぶのに抱えさせてもらったぞ。」
「なんだよ、病人って!レイラ、どうかしたのか?」
さっきまで元気だった彼女が、いきなり病人って…?とサンジは青ざめた顔でローに詰め寄った。
「お前、彼女の様子ぐらいちゃんと見ておけ。凄い熱だったぞ。アイツもアイツだ。なぜ、トニー屋のところに行かねェ…」
「…熱?今寝てるのか?」
「俺の船の診察室で寝てる。解熱剤投与しておいた。そばにいてやれ。」
「…すまねぇな、ロー。」
そんなことがあって、サンジはレイラの手を握っていたという訳だ。
「…二人ともごめんなさい…」
ローは大きくため息をついて、脈を測っていた手首を離した。
「熱はもう下がった。サニー号に戻っていい。」
私はサンジにお姫様抱っこをされて、サニー号に戻った。
サンジはそのまま、私を自分の部屋に運んだ。
「このまま、もう少し休んでいるといい。いま、何か作ってくるから、眠って待っていて。」
そう言って、サンジは私を抱き寄せ、額にキスを落としてくれた。
私は離れたくなくて、サンジにワガママを言った。
「嫌、そばにいて。」