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気まぐれ中・短編集【ONE PIECE】R18

第5章 高熱※


サウザンド・サニー号は、冬島の海域に入った。

急激な気温の変化と、溜まっていた疲れに身体が耐えきれなかったのだろう。

私は、熱を出してしまったようだ。身体の節々がズキズキと痛み、着込んでいるのに、背中がゾクゾクして歯ぎしりをする程に寒気がする。立っているのがやっとな程だ。

「……はぁ……はぁ……」

チョッパーのところにいけば、確実に騒ぎになる。サンジを心配させたくない。だから、私はタング号のローのところに行くことにした。ローなら穏便に治療してくれるはずだ。


フラフラとした足取りで、隣の船へと渡る梯子を歩いていこうとしていた時だった。
熱で視界が歪んでいたせいか、私は足を踏み外した。

(……あ…海に落ちる…)

落ちれば、今の私は確実に溺れる。元気なら落ちても問題なく泳げるが、今はどうしようもない。海面へ真っ逆さまに向かう…
皆、気づいてないだろうな…と目を閉じ死を覚悟した瞬間だった。

「……ROOM!シャンブルズ!」

気づけば、私はローの腕の中だった。

「足を踏み外すとは、お前らしくないなと思ったら…なんだこの熱は…!」

ローはそのまま私を横抱きに、診察室へと駆け込んだ。

「……サンジ…はぁっ…はぁっ……サンジ……」

私は意識が朦朧としていたようで、うわ言で何度もサンジの名前を呼んでいた。

「残念ながら、ここにいるのはサンジじゃねェ。今、解熱剤投与するから待ってろ。」

返事をすることなく、私は意識を手放した。

どのくらい経ったのか。目を覚ますと、サンジがベッドの脇で私の手を握ったまま、眠っていた。
私はサンジを起こしたくなくて、そっと握られている手を離そうと動いた途端。

「レイラ…目が覚めたか。熱に気づいてやれなくてごめん…」

サンジの声が心做しか震えていた。

「……サンジ…」

「なんでチョッパーのとこに行かなかった?」

「サンジに心配かけたくなくて。ごめんなさい。」

そんな話をしていた時、ローが診察室の扉をノックした。

「入るぞ。」

ローは診察室に入るなり、黙って私の側に寄ってきて、手首を取り、脈を測り始めた。

「…トラ男くん…」

「黒足屋の名前をうわ言であんなに呼んでいて、知らせないわけにいかねェだろ。」

「レイラの姿が見えなくて、探してたところにローが知らせてくれたんだ。」
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