第4章 不思議な果実
「……レイラ!?お前もしかして……悪魔の実食ったのか?」
「…さっきの可愛らしい実を食べたらこんなことに……」
「なにやってんだよ……!」
そう言って、キッドは犬の姿の彼女を優しく抱きしめた。
「ごめんなさい。」
犬になったレイラの頭を撫でるキッド。
(この姿でも可愛いが、やっぱりお前は……!)
「気づいてもらえないかと思いました……あの、キッドさん、元に戻ってもいいですか?」
犬であってもじっと見つめられると、引き込まれそうな程に、彼女の瞳は綺麗な碧色だ。
その瞳を合わせないように、キッドは目線を逸らして言った。
「……ダメだ……いま、俺の前で元に戻ったら俺はお前を押し倒しちまう。やめとけ。いまお前がこの状態だから辛うじて理性を保ってられる。お礼だなんて、あんなことすんじゃねぇよっ!」
「…じゃあ、キッドさんが部屋に戻ったら、私元に戻ります。」
「…そうしてくれ。」
そう言うと、キッドは彼女をベッドに放し、レイラの部屋を出ていった。
夜中、キッドとキラーの二人は、キッドの部屋でお酒を呑んでいた。
「…眠れないか、キッド。」
「…あぁ。レイラといると、どうも調子狂っちまって。フッ…俺とした事が、情けねぇな…」
「まぁ、わからなくもない。」
「アイツの気持ちが俺に向くことはないんだろう。」
「珍しく弱気だな。でも、無理強いはしたくないってことだろ?」
「嫌われたくはないな。アイツの男って誰なんだ…」
そう呟いて、一気に酒を飲み干した。
「知らない方がいいかもな。」
そう言って、キラーもまた一気に酒を飲み干し、二人はしばらく語らっていたが、いつの間にか眠りに落ちていた。
この後、彼女はある島で船を降りる。
その後、二人が再び出会う時には、お互い敵同士だ。
淡い恋心を胸の奥にしまい込んで、キッドは新世界の航海へと突き進んで行くのだった。