第3章 CANDY KISS
「じゃあな、ゆっくりしてこいよ!」
ようやく終わったようで、やっと彼と二人きりになれた。
手を繋ぎながら歩いていると、彼は飴を舐めているようで。
甘い匂いが鼻を擽る。
「ねぇ、ゾロ?」
「んぁー?なんだ。」
「そのキャンディどうしたの?」
「あぁ、アイツらがいなくなった時にガキ共を助けてやったんだよ。それで貰った。」
私が驚いた顔をしていると、ゾロは続けて言った。
「レイラなら、助けてやってくれと頼むだろうと思ってな。」
少し俯きながら言う彼の顔が赤いのは、言わないでいよう。
「そうだったのね。それで、私のは?」
「ない。」
「ずるーっ!いいなぁ…」
私は口を尖らせて拗ねた。その後もあーだこーだと言っていると、突然、ゾロが足を止めた。
「…ゾロ?」
私は怒ってるかと、恐る恐る彼の顔を見た。
すると、彼は繋いでいた手を離し、私の頬を両手で包んだ。
突然の彼の行動に目をパチクリさせていると、彼の顔がだんだん近づいてきて。
「ばーか、目を閉じろよ。」
言われた通りに目を閉じて、何をされるのかと身構えていると…
突然頭を引き寄せられたかと思ったら、ゴチン、と額をくっつけてきた。
「痛ぁい…」
ゾロはそう呟いた私の唇をいきなり塞ぎ舌を絡ませてきた。
「…んんッ…!」
…コロン…!
途端に口内に広がる甘い味。
ゾロと味わうキャンディの味は、イチゴだった。
二人で一つのキャンディを舐めあったあと、ゾロは私の口内にキャンディを移し、唇を離した。
「………」
飴がキスで移されたことに、恥ずかしさで顔を真っ赤にした私に
彼が言う。
「やるよ。うるせぇ口は塞ぐに限る。」
私の唇を親指でなぞり、ニヤリと口角を上げると、私を強く強く抱きしめてくれた。
「…うるさくて悪かったわね。」
「そんな可愛い顔して、拗ねるんじゃねぇよ。」
「拗ねてないもん。」
「そうか、そうか。お前は可愛すぎなんだよ。あー、離したくねぇ。」
ゾロとのキスはキャンディよりも甘い、キャンディキス。