第2章 誕生祝い to Nino
-Nside-
「おはよう、カズ」
「おはよ、翔ちゃん」
「今日暑くなるみたいだね」
「えー、やだなー」
翔ちゃんと他愛ない話をしながら学校に向かう、いつもの朝。
翔ちゃんとの関係が友だちから恋人に変わってもうすぐ3ヶ月。
でも特に何かが変わったわけでもなく。
今まで通り仲良くしてる。
翔ちゃんは変わらずカッコよくて優しくて。
俺は変わらず翔ちゃんのことが大好きで…
……ううん、やっぱり変わってるかも。
だって俺、翔ちゃんのこと前よりもっともっと好きになってるもん。
昨日より今日、今日より明日って。
毎日どんどん好きになる。
好きって気持ちに終わりってないんだなって、翔ちゃんを好きになって初めて知った。
どこまでもどこまでも“好き”が大きくなって、これ以上なんてないんじゃないかって思うのに。
毎日そんなの簡単に越えちゃうんだ。
今日も翔ちゃんはカッコよくて。
キラキラ眩しいその横顔に見惚れてしまって。
どうやらボーっとしちゃってたみたい。
「カズっ」
突然腕を引っ張られて、気付けば翔ちゃんの腕の中。
「えっ?なに?」
急なことに動揺してたら、横道から飛び出してきた自転車が、ほんの数秒前まで俺のいた辺りを猛スピードで通り過ぎて行った。
こわっ!
思わずびくっと肩を揺らしてしまった俺を、翔ちゃんがしっかり抱き締めてくれた。