第25章 誕生祝い to Jun * ムラサキ♡まつり
-Mside-
ドーンドーンと大きな音を響かせながら、夜空に次々と大輪の花が咲いては消えていく。
すごく綺麗だと思うけれど、さっきから俺の視線は隣の智に釘付けだ。
毎年恒例となっている俺の誕生日祝いとして、今年もいつものメンバーで花火大会にやってきた。
以前はうちにみんなを呼んでベランダから花火を見ていたけど、実家を出てからはこうして花火大会の会場に足を運ぶようになった。
初めての花火大会の時にみんな浴衣だったから、なんとなく毎年浴衣で来るんだけど。
今日の智は女物の浴衣を着ている。
あ、もちろん智だけじゃなくてニノと風間もなんだけど。
俺たちのために女装してくれたと思うと胸がいっぱいになる。
もう何年か前になるけど、智を怒らせて罰として女装させられたことがあった。
あれはもう全面的に俺が悪かったからおとなしく受け入れたんだけど。
日常生活の中でする女装は文化祭の時とは全然違った。
話を聞いてノリノリになったニノの姉ちゃんに化粧も服のコーディネートもしてもらって。
智たちには大好評でめちゃくちゃ褒められた。
でもどんなに美人だ綺麗だと言われても、それを真に受けることは出来なくて。
とにかく人の目が気になって。
一緒にいる智まで変な目で見られるんじゃないかと思うと気が気じゃなくて、ずっと変な汗が止まらなかった。
自分で実際に経験して、初めて分かった。
そりゃ智は可愛い。
ニノも風間も。
女装したらその辺の女の子なんか目じゃないくらい可愛い。
でもどんなに可愛くったって智たちだって男だ。
きっと俺と同じような気持ちに毎回なっていたに違いない。
身をもって知った俺は反省した。
それはもう心から反省して。
もう軽い気持ちで女装をお願いするのはやめようと心に決めた。
当然翔と雅紀も巻き込んで一緒に女装させてたんだけど、2人も思うところがあったみたいで、ニノたちに改めて謝ってた。