第24章 誕生祝い to Nino * きいろ☆まつり
つんと真っ白で柔らかな頬をつつくと、カズは眠ったままへにゃっと笑った。
「可愛いなぁ」
出会った時から全く変わらないように見えるあどけなくて可愛い寝顔。
幸せな夢でも見ているのだろうか。
口元は笑みの形を保ったままだ。
その夢の中でもカズの隣には俺がいたらいいなと思う。
そのまま可愛いカズを幸せな気持ちで眺める。
でもそのうちこれは本当に現実なのか不安になってきた。
もう何年も一緒に過ごしているのに、今でも時々夢を見ているような気持ちになることがある。
ものすごく幸せなのに。
何一つ不満なんてない日々なのに。
幸せすぎて、目が覚めたら全てが消えてしまうような気がしてしまうんだ。
思わずぎゅっと繋いだ手に力を込めると、寝ているはずのカズがきゅっと握り返してくれた。
その手の温かさがこれは現実だと教えてくれる。
ホッと安堵の息を吐くと、なんだか涙が出てきた。
いい歳してこんなことで泣くなんて恥ずかしいと思う。
でもこれは嫌な涙ではない。
こんな情けない姿カズには絶対見られたくないけど、今は寝ているからいいかと流れる涙はそのままにして。
「カズ、生まれてきてくれてありがとう…俺と出会ってくれてありがとう…」
起こさないように細心の注意を払って、そっとカズを抱きしめた。
「俺を選んでくれて、今も一緒にいてくれてありがとう…」
こんなに大勢の人がいる中で、カズと出会って、2人の想いが重なって…それはどんな奇跡だったんだろう。
カズのことが愛しくて、愛しくて、愛しさで胸がいっぱいになってまた涙が溢れた。
「カズの幸せは俺が守るから…これからもずっと俺の隣で笑っていてね…」
祈るような気持ちでカズの額にキスをしたら、カズがまたふにゃっと笑った。
その無垢な笑顔を見ていたら、俺も自然と笑顔になっていた。
ぐいっと涙を拭ってから、カズを抱えて寝室に移動して。
「大好きだよ、カズ」
誰よりも何よりも大切なカズをしっかり抱きしめて俺も眠りについた。
誕生日おめでとう
どうか笑顔溢れる素敵な1年になりますように