第24章 誕生祝い to Nino * きいろ☆まつり
-Sside-
「誕生日おめでとう、カズ」
日付が変わった瞬間、大切な恋人へのお祝いを口にした。
それだけで幸せな気持ちになる。
まぁ、カズからの返事はないんだけどね。
たった今ひとつ歳を重ねたカズは、俺にもたれかかってスヤスヤと眠っているから。
今日…いや、日付が変わったからもう昨日か。
昨日は、毎年恒例のカズと風間の誕生日祝いで夢の国へ遊びに行ってきた。
当たり前のことなんだけど、社会人になってからは学生の時みたいに頻繁に会うことが難しくなって。
それでも誕生日だけは必ずみんなで予定を合わせて集まってお祝いしている。
今年はカズたちの誕生日が月曜日だから、前日の日曜日に遊びに行ってきた。
知り合ってからもう何年も経って、それなりに大人になったつもりだけれど。
みんなで集まると、あっという間に高校時代と変わらない空気になる。
それが嬉しくて、楽しくて。
昨日も1日全力で遊び倒してきた。
主役のカズと風間もずっとニコニコ楽しそうにしていて、すごく良い1日だったと思う。
ただ、思いっきりはしゃいでいたカズは体力を使い果たしてしまったようで、帰りの電車内で既にうつらうつらしていて。
だから自宅に帰りついてすぐ寝かせようとしたんだけど。
カズは眠い目をこすりつつも「翔ちゃんと手を繋いで誕生日になる瞬間を迎えたい」「翔ちゃんに1番におめでとうって言ってほしい」と可愛いわがままを言って。
全然寝ようとしなくて。
やだやだとダダをこねるから仕方なくソファに2人並んで座ってみたけど。
まぁ、やっぱり無理だったよね。
カズは頑張って起きていようとしていたけど、気付いた時には夢の世界に旅立ってしまっていた。
一応声は掛けたけど、全然起きる気配はなくて。
明日の朝起きた時に落ち込んでしまうかもしれないと思いつつも、気持ちよさそうに寝ているのを無理やり起こすのも忍びなくて。
結局そのままの状態でカズの誕生日を迎えた。
せめてカズの願いは叶えようと、しっかりと手は繋いだまま。
カズに聞こえていないとわかっていたけど、お祝いの言葉も伝えた。