第23章 入学準備
-Oside-
「変だよ!絶対変!」
「うるさいな!全然変じゃないし!」
目の前で言い争うニノと雅紀。
こんなのいつものこと。
日常の光景。
じゃれあってるようなもんだから、いつもだったら放っておく。
でも、ここは学校じゃないんだよなぁ…
ニノと同じ高校に行きたくて。
死にものぐるいで勉強した結果、見事3人一緒に志望校に合格出来た俺たち。
今日はその高校の制服を注文しにきた。
ちなみに親も一緒に来てるんだけど、母ちゃんたちは久しぶりに会ったからか俺たちのことそっちのけでずーっと喋ってる。
で、今現在ニノたちが何を揉めているかと言うと
「ニノの制服、デカすぎだって!」
これ。
それぞれお店の人に相談してサイズを選んで、制服を抱えて試着室に入って。
着替えて出て来たら、ニノだけ様子がおかしかったんだ。
明らかにサイズの合ってないデカいにも程があるブレザーを羽織ってて。
ズボンもブカブカなのをベルトで無理やり締めてるみたいで、シルエットが袴みたいになっちゃってる。
それを雅紀がズバッと指摘したらニノが怒っちゃったんだよね。
このまま放っておくと言い争いがエスカレートするのは目に見えてる。
「ちょっと、2人とも落ち着いて。お店の人が困ってるよ?」
仕方なく間に割って入ると、2人揃ってバッと俺を見て。
次に店員さんを見るとハッとしたように一瞬口を噤んだけど、すぐに声を落として俺に訴え始めた。
「智!だって雅紀がひどいんだよ!俺のこと変だって笑うの!」
「いや、どう見ても変だって!智もそう思うでしょ?」
それぞれの言い分を聞いて、うーん…と考えてしまう。
いくら本当のことでも、言葉を選ばなかった雅紀の方が悪いんじゃないかとは思う。
他に言い方はいくらでもあっただろう。
気持ちとしてはニノの味方をしてあげたい。
でも制服のサイズ感に関しては雅紀に同意かなぁ。