第21章 幸せな日々
「それに、たまたま翔ちゃんが家事が苦手で俺が得意ってだけで、逆に俺が苦手で翔ちゃんが得意なことだってたくさんあるでしょ。2人でいるんだもん。お互いに苦手なことは補い合っていけばいいんだよ」
カズの言ってることは正しくて。
そういう関係でありたいと俺も思う。
思うんだけど…
「うん…そう…そうだよね…そうなんだけど…」
自分が情けなさ過ぎて素直に頷くことすら出来なくて。
「あー…もう、ほんと俺カッコ悪…」
「そんなことない!!」
自嘲気味に呟いた俺をカズが力いっぱい遮った。
「苦手なことを克服しようとする翔ちゃんはカッコいいもん!」
「……え?カッコいい?」
思ってもみなかった言葉に驚いてつい聞き返したら、カズは力強く頷いた。
「うん!すっごくカッコいい!しかもそれが俺のためだなんてすっごく嬉しい!」
「……本当に?本当にそう思う?」
「うんっ!」
しつこく確認してもカズは全く揺らがなくて。
我ながら単純だと思うけど、カズに褒められたことで俺の心はぐんと上を向く。
「俺のためにがんばろうとしてくれてありがとう♡出来ることから始めていこうね♡」
とどめとばかりに満面の笑顔でほっぺにちゅっとキスをされたら、落ち込んでたことなんて吹っ飛んで。
やる気もぐんぐん上がっていく。
「うん!俺でも出来ることから頑張るよ!」
「ありがと♡ほんとに大好き♡」
ぎゅうっとしがみついてくるカズが可愛くて愛しくて。
カズのためなら何だって出来ると思う。
「さ、続き食べよ?」
「うん!」
俺に出来ることは、まずはこの美味しいご飯を完食すること。
「食べ終わったらお弁当箱出してね?」
「すぐ出すよ!スーツもすぐにハンガーに掛ける!」
あとはカズに言われたことを忘れず実行していくことから始めよう。
「ありがと♡お皿洗いは一緒にしようね♡」
「チェックお願いします!」
「ふふ、任せて♡」
この可愛い笑顔と幸せな日々を守るために頑張るんだ!!