第21章 幸せな日々
そして当然、希望する職種も全く違った。
カズのことが大好きで大切で一瞬だって離れたくないって思う気持ちは全く変わらないどころか年々強くなっていたけど、生きていくためには仕事だって大切で。
どうしたってカズを心配する気持ちは消えなかったけど、最終的にはちゃんと割り切って、真剣に自分のやりたいことを考えて決めた。
カズもそう。
就活の時期はかなり真剣に悩んでいた。
お互い真剣に自分と向き合って、時には悩みを相談し合って、そうやって決めた志望の会社。
内定をもらった時には抱き合って喜んだ。
自分の選択に後悔はない。
仕事は大変だけどやりがいがあるし、楽しい。
それはカズも同じみたいで、カズが自分の就いた仕事に誇りを持ってるのも知ってる。
それでも。
カズが在宅ワークが出来る仕事を選んだことに申し訳なさを感じた。
だってその条件は、俺がこんな性格じゃなかったらなかっただろうものだったから。
俺のことを考えてくれたカズの気持ちは嬉しかったし、カズが俺以外の人間と会う時間が減ったことに安心した。
でも俺のせいでカズの選択肢を狭めてしまったのは確かで。
俺のエゴでカズを不自由にしてしまっている現実をありありと突きつけられて、俺は自己嫌悪に陥った。