第20章 卒業式
「俺はさ、ここでカズに一目惚れしたんだ」
………え?
突然の告白に一瞬頭が追いつかなくて。
ココデカズニヒトメボレ?
ここで、カズに、ひとめぼれ…
一目惚れ?
「………えっ!!?」
理解した途端にものすごくびっくりして思わず大きな声が出た。
翔ちゃんがここで俺に一目惚れって…
慌てて記憶を探ってみるけど俺には全く心当たりがない。
「い、いつ?」
「入学式の日の朝」
ヒントをもらって頑張って思い出してみるけど、入学式に翔ちゃんと接した記憶はなくて。
どうしよう…
俺なにか忘れてるのかな…
オロオロする俺を見て、翔ちゃんは安心させるように優しく微笑んだ。
「カズは分からなくて当然だよ。特別な何かがあった訳じゃないんだ。直接話してもいないし、カズは俺の存在を認識してすらいなかったはずだよ」
確かに入学式の朝の時点では、俺が知ってるのは智と雅紀だけだった。
翔ちゃんの言う通り、翔ちゃんのことはまだ存在すら知らなかった。
そんな時期に翔ちゃんは俺のこと見つけてくれてたの?
でもどうやって?
俺、目立つようなことしてないと思うんだけど…
首を傾げていたら、翔ちゃんはその時のことを思い出したのか懐かしそうにクスっと笑った。