第20章 卒業式
俺が智と電話してる間に、翔ちゃんは色んな人に連絡してくれてて。
電話を切った時にはもう俺のすることは残ってなかった。
さすが翔ちゃん、仕事が早い。
ちなみに智の次に連絡が多かったのは雅紀と風間なんだけど。
2人は早々に学校を出て、バスケ部連中とお別れ会という名のカラオケに行っていたらしい。
だから直接はあの騒ぎを知らないけど、すごい勢いで噂が広まってたみたいで。
既に学校にいなかった雅紀たちの元にもその噂は届いて。
自分たちの目で見ていない分めちゃくちゃ心配してたらしい。
まぁ、噂って尾びれ背びれがつくものだからね。
きっと実際以上の大袈裟な話になって伝わってたんだろうな。
翔ちゃんがちゃんともう大丈夫だって言ってくれたみたいだから、今は安心してお別れ会を楽しんでくれてたらいいな。
誰もいない教室に戻ると、俺と翔ちゃんそれぞれの机の上に、花束やら手紙やら何やらが積み上がっててえらいことになってた。
翔ちゃんは分かるけど、まさか俺にもこんなに卒業を祝ってくれる人がいるなんて思ってなかったからびっくりした。
お花とかせっかく用意してくれたのに、直接受け取れなくて申し訳なかったな…
でもこの人数に押し寄せられてたらやっぱりこわかったと思うから、居なくて良かったのかも。
手紙に関してはちょっとトラウマがあるから1人で見るのがこわくて、その場で翔ちゃんに一緒に見てもらったけど。
大半は純粋に卒業おめでとうって感じの内容だったからホッとした。
ごく一部に告白じみたものも混ざってたけど、それは翔ちゃんがぐしゃっと握り潰してなかったことにしてた。