第20章 卒業式
智は話を聞いてすぐに、俺を助けに行かなきゃって飛び出そうとしたらしいんだけど。
潤くんと後輩くん、何なら先生にまで引き止められ。
ニノたちもどこかに隠れてるはずだから智が下手に動くとニノたちが危なくなるかもしれない、だから智もおとなしくしてろって説得されて。
って言うか、動けないように潤くんに物理的にも押さえられてたっぽい。
智は、ニノを助けに行きたかったのに潤が…なんて、今もブツブツ言ってるけど。
潤くんグッジョブだよ!!
智があの騒ぎに巻き込まれずに済んで本当に良かった。
あんなこわい思い智にはしてほしくないもん。
いくら智が強くたって、あの人数で来られたらどうなるかわからないからね。
でも、俺と連絡がつかない中じっとしてるしかなかった智はかなりヤキモキしてたみたい。
そのうち先生たちが騒いでるヤツらに早く帰れと怒ってる声が聞こえてきて。
しばらくして騒ぎが落ち着いてきた頃に、やっと潤くんのOKが出て。
準備室から出て俺を探し始めたけど、全然見つからなかったって。
たぶんその頃はもう校長室にいたからだよね…
「……余計な労力使わせちゃってごめんね」
「ううん、ニノが無事だったならいいんだ」
荷物も置いたままだし、連絡がないってことはまだ帰ってはいない、きっとどこかに隠れてるんだ…とは思ったものの。
諦めずに俺たちを探して校内をさまよってた智たちは、先生に見つかって半ば強制的に帰らされてしまったらしい。
「智は今どこにいるの?もう家?」
「ニノんちの近くの公園」
心配でまっすぐ帰るなんて出来なくて。
何かあったらすぐ動けるようにって公園で待っててくれてたんだって。
もう、智の優しさに涙が出そうだよ…