第20章 卒業式
その後も、何度もピンチな場面はやって来た。
でも、亀梨くん以外にも味方はいたみたいで、都度都度助けてくれる人が現れるからなんとか逃げ切れてる。
でも、校舎から外に出て、裏庭、中庭と場所を移して。
ずっと気を張りながら移動を続けてたら、体力の限界が見えてきた。
ヨロヨロと走っていたら、翔ちゃんは俺の足取りが怪しくなってきたことにすぐ気付いて。
周りを確認すると校舎と植え込みの隙間に入り込んでいった。
少し進むとちょうど2人並んで座れそうな空間があって、翔ちゃんに手を引かれるままそこに座る。
かなり狭いけど、座ると茂った葉っぱが俺たちを覆い隠してくれて。
ここなら簡単には見つからなさそうだ。
ホッとして、深々と息を吐く。
「カズ、大丈夫?」
「うん」
翔ちゃんは逃げてる間ずっと俺のこと心配してくれてて。
もうこれ以上の心配は掛けたくないから、翔ちゃんの問いにはすぐに頷いたけど。
「本当に?」
「………ほんとはそろそろ限界かも」
すごく心配そうに確認されて、それ以上強がることは出来なかった。
やっぱり翔ちゃんにウソはつけないもん。
「ごめんね…」
「謝ることじゃないよ」
翔ちゃんはポンポンと頭を撫でて慰めてくれるけど、自分の体力のなさに情けなくなる。