第20章 卒業式
「あああ、良かった~」
「怖がらせてしまってすみません」
へなへなと翔ちゃんにもたれ掛かる俺を見て、亀梨くんは申し訳なさそうに頭を下げて。
それから事情を説明してくれた。
俺たちが校庭から脱出した頃、亀梨くんはお世話になった先輩たちと昇降口の辺りで話し込んでいて。
それで、たまたま俺たちを探して大騒ぎする連中を見掛けたらしい。
そいつらの様子がおかしくて。
ただ最後に会いたいってだけじゃない、どこか異常な雰囲気を感じた亀梨くんは、わざわざ上田に連絡して何か知らないか尋ねてくれたらしい。
「上田から事情を聞いて、それで心配になって俺も探してたんです。連中より先に見つけられたのは良かったんですけど、すぐにさっきのやつらが近づいてきてるのが見えて…」
自分が話し掛けたら、そのせいで見つかってしまうかもしれない。
それなら先に追い払った方がいいと思って、俺たちに気付いていないフリをして、あんなウソをついたらしい。
ウソの謎が解けてすっきりする。
「すぐに声を掛けられなくてすみませんでした」
「俺たちのためにしてくれたんだもん、謝らないでよ」
亀梨くんはまた頭を下げようとするけど、亀梨くんがそこに居てくれたから、あいつらは奥まで探しに来なかったんだ。
亀梨くんの咄嗟の判断に感謝しかない。
「ありがとう、亀梨くん」
「助かったよ、本当にありがとう」
ぺこりと頭を下げたら、隣で翔ちゃんも深く頭を下げていた。