第19章 誕生祝い to Sho * 3rd
俺にせっせとお弁当を食べさせながら、カズはどうしてこんな格好をしているのかを自ら話してくれた。
めちゃくちゃ気になってたけど、女装に関しては昨日のことが負い目になっていて。
何となくこちらからは聞きにくいと思っていたのを察してくれたのかもしれない。
昨日、俺は帰宅後も後悔と反省を続けていたけれど、どうやらそれはカズも同じだったらしく。
俺の前でははしゃいで笑顔を見せていたカズだけれど、心の中では俺の望みを察せなかったこと、自分のせいで危うくお祝いを台無しにしてしまうところだったことをずっと気に病んでいたらしい。
カズは何も悪くないのに本当に申し訳ない。
デート帰りのはずなのに明らかに様子のおかしかったカズはお姉さんに訝しまれて。
問い詰められて洗いざらい事情を吐かされた後、罪悪感に苛まれてメソメソしていたカズは喝を入れられたらしい。
曰く「過ぎたことをいつまでもグチグチ言ってても仕方ない!申し訳ないと思うなら、もう変えようがない終わったことじゃなく、これから出来ることを考えなさい!」だそうだ。
怒るお姉さんの剣幕が簡単に想像出来て、直接言われた訳ではない俺の背筋まで伸びた。
そしてお姉さんは怒るだけじゃなく、具体的な“これから出来ること”をカズと一緒に考えてくれたらしい。
今までもずっと思っていたけれど、改めてお姉さんの存在に感謝する。
こんな世間ではマイノリティと言われる俺たちの関係をあっさり受け入れてくれて。
いつだってカズの絶対的な味方でいてくれるお姉さんの存在に、俺たちはどれだけ助けられているだろう。
今回だって俺が不用意に傷つけてしまったカズをお姉さんがフォローしてくれたんだ。
もうどれだけ感謝しても足りない。
お姉さんに足を向けて寝られないと本気で思う。