第17章 風邪引き
-Nside-
翔ちゃんが風邪を引いた。
朝、そう連絡をもらった俺は動揺しちゃって。
返信にも動揺が滲み出ちゃってたのか、学校を休むくらいしんどいのに、翔ちゃんはわざわざ電話をくれた。
大したことないから心配しないでねって。
咳がひどいし、声を出すのも辛そうで。
それでも連絡をくれる優しさに不謹慎にもキュンとしちゃったけど。
でもやっぱり心配で。
翔ちゃんが隣にいないのが単純にさみしくて。
授業には集中出来ないし、すぐに涙が出そうになるし。
我ながら今日の俺はダメダメだ。
翔ちゃんの代わりにって智と潤くんが朝からずっと一緒に居てくれるから、何とか耐えられてる感じ。
「さみしさを思い出させちゃってごめんね」
何にも悪くないのに謝らせちゃって、俺の方こそごめんねなんだけど。
よしよしって頭を撫でてくれる智に甘えて、ぎゅっとしがみついてさみしさをやり過ごす。
今日はずっと智を独り占めしちゃってるから潤くんにも悪いなーと思うんだけど。
「学校が終わったら様子見に行こうな」
「…うん」
「そんな心配しなくても翔は頑丈だからすぐ元気になるよ」
「…うん」
潤くんは全然嫌な顔しないで、智と一緒になって励ましてくれる。
本当に優しいよね。
お見舞いに行くことを提案してくれたのも潤くんだ。
申し訳ないけど、今日は2人の優しさに甘えさせてもらっちゃおう。
放課後までの辛抱だ!
がんばれ、俺!