第17章 風邪引き
-Mside-
「ねーねー、智ー」
「はいはい」
今日はニノが智にべったりだ。
今も智の背中に引っ付いてほぼおんぶ状態。
「ねー、ちゃんと聞いてる?」
「聞いてるよ」
「うそ!聞いてないもん!」
大した用もないのにずっと智に話し掛けて、適当にあしらわれると拗ねて。
完全なるかまってちゃん。
見てるだけでもちょっとうざいけど、智は全く動じていない。
むしろ嬉しそうなのが、さすがだと思う。
「今日は一段と甘えん坊だねぇ」
「だって…」
智がふふっと笑うと、ニノは口を尖らせたけど。
「だって…」
すぐにしょんぼりと落ち込んでしまった。
「ああ、ごめん!ごめんね!」
目に見えて元気のなくなったニノに智が慌てる。
「わかってるよ、さみしいんだよね」
「うん…さみしい…」
智に優しく頭を撫でられると、ニノは涙目になって素直に呟いた。
なんでニノが元気がないかというと、理由は単純明快。
今日は珍しく翔が風邪で休みだから。
心配なのと、さみしいのとで、分かりやすく落ち込んでるんだ。
俺も、翔が朝からゲホゴホしながら電話掛けてきた時には、何事かと思って心配したけど。
風邪を引いてしまって、本当は休みたくないけどニノにうつしてしまったら大変だから仕方なく休むって言う泣き言から始まって。
自分の代わりにニノを迎えに行けだの絶対1人にするなだの帰りも家まで送れだの…お願いっつーか、命令っつーか。まぁ、頼まれごとをされた。
あんだけ喋る元気があるなら、そこまで心配しなくても大丈夫だろうと俺は思ってるけど。
でもニノが休むことはあっても、翔が休むなんて滅多にないから、ニノはめちゃくちゃ心配みたいで。
智と一緒に迎えに行った時からずっと、不安を誤魔化すみたいに智に甘えてるんだ。