第15章 誕生祝い to Jun * 3rd
-Mside-
高3の夏休み。
世間的には受験勉強に追われる時期なのかもしれないが、内部推薦で進学予定の俺たちは特に例年と変わらず。
今年も俺はほぼ毎日美術室に通って、智が絵を描くのを眺めたり、智に教えてもらって自分でも絵を描いてみたりしながら過ごしている。
俺には智みたいなセンスも才能もないけど、やってみたら絵を描くことは単純に楽しくて。
智にも楽しむのが一番と言われたから、難しいことは考えずに自由気ままに描いている。
ちなみに、智は修学旅行で約束した空の絵を描いてくれている…らしい。
描いてる本人がそうだと言うんだから、そうなんだろうけど。
智が描く空は俺の記憶にある空とは違って、何倍も綺麗でちょっと幻想的で。
本当にあの空なのかちょっと疑いたくなるけど。
智の目にはこんな風に見えていたんだよな。
まだ描きかけだから、完成がとても楽しみだ。
俺たち同様に、翔とニノもほぼ毎日学校に来ている。
図書館で宿題をしたり生徒会室で仕事をしたりと日によって違うみたいだが、毎日夕方になると美術室に顔を出しに来る。
雅紀たちはさすがに毎日ではないけれど。
それなりの頻度で部活があるみたいで、なんだかんだ週に1~2回は顔を合わせてる。
向こうが来てくれる日もあれば、俺たちがバスケしに行く日もある。
もちろん学校だけじゃなくて、みんなで海に行って、川に行って、プールにも行った。
今年は雅紀の親戚の店で風間も一緒にバイトをしていて、働く2人を冷やかしに行ったりもした。
智と2人で画材の買い出しに行ったり、美術館に行ったり…まぁ、いわゆるデートもしてる。
我ながら今年もすげー夏休みを満喫してるなと思う。