第14章 修学旅行
「翔は喜ぶと思うけど、ニノのためにサイズは考えろよ」
「わかった」
「なんの話?」
せめてもの気持ちで智に釘を刺していたら、いつの間にか戻ってきていたニノがヒョイっと会話に加わってきた。
「あれ?ニノ1人か?」
「翔ちゃんが先に戻っててって」
店内を見たら翔は会計をしていた。
無事に2人で納得いくものを選べたんだろう。
「…で、なんの話してたの?」
「シーサーの話」
「え?智も買うの?」
「え?買わないけど…」
「え?」
説明を端折りすぎる智のせいで噛み合わない会話にニノが首を傾げて。
ニノの反応に智も首を傾げる。
「シーサーがどうしたって?」
そこにニヤけた雅紀と顔が赤い風間も戻ってきた。
そういえば、この2人もいつの間にか消えてたな。
どこで何をしてたんだか知らないけど、その顔を見ればたぶん俺らと似たような話をしてきたんだろうなと想像はつく。
みんな幸せそうで何よりだ。
「雅紀には内緒ー!」
「なんでだよ!仲間に入れろよ!」
「やだよーだ!」
首を傾げてただけでロクに会話になってなかったくせに、ニノは雅紀に無駄な意地悪をする。
「お待たせ」
「おかえり、翔ちゃん♡」
「何の話してたの?」
「あのね、智がね…」
そのくせ会計を済ませて合流した翔にはにこやかに答えるもんだから。
ムッとした雅紀が騒ぎ出す。
「おい!態度が違いすぎるだろ!」
「当たり前でしょ!」
「当たり前ってなんだよ!」
あーもう!うるせー!
ついさっきまで静かだったのが嘘みたいにやかましい。
「仲良しだねぇ」
「平和だねぇ」
ギャーギャー騒ぐニノたちを智と風間はのほほんと眺めてて。
うるせーけど、まぁいつも通りか。
でもまた無駄に注目集めてるっつーの!
「ほら!先進むぞ!まだなんか買うんだろ?」
「はーい、お母さん」
「また言うか!」
「あははは!」
「俺ちんすこう買いたい!」
「あ!俺もー!」
青い空の下みんなで騒いで笑って。
最後までやかましいまま、俺たちの修学旅行は幕を閉じた。