第14章 修学旅行
「起きろ!」
「ん…さとし…?」
潤はぼんやりとした視線を彷徨わせていたが、智くんを見つけるとほにゃっと笑った。
何これ!?
俺の知ってる寝起きの潤は超絶不機嫌で。
そもそも寝起きに限らずこんな笑い方するやつじゃない。
これも恋の力なのか?
寝起きの潤にこんな顔させる智くん、マジですげー!!
普段とのギャップがすごくて、カズも雅紀たちも目を丸くして驚いてる。
「ちょっ…潤っ…!?」
潤はまだ寝惚けてるのか、俺たちの反応に気付くことなく、智くんをベッドに引っ張り込んで両手で抱き締めた。
「おはよ、さとし」
「ばっっっ///」
そのまま、智くんが真っ赤になってジタバタ暴れるのにもお構いなしに、頬にキスをしようとして。
「寝ぼけんな!!」
次の瞬間には、智くんの怒鳴り声と同時にゴスっという鈍い音が響いた。
ブチ切れた智くんが頭突きしたんだ。
「いっ……」
潤は頭を抱えて身悶えているが、今ので完全に目は覚めただろう。
「何すんだよ…」
「うるさいっ!」
「もっと優しく起こしてくれよ…」
「寝惚けて変なことするのが悪いんだろ!」
状況が分かってるんだか分かってないんだか。
涙目で文句を言う潤に、赤い顔の智くんがプリプリ怒ってる。
でもまぁ、イチャついてるようにしか見えないから放っておいても大丈夫だろう。
「さ、ニノも早く着替えよ!」
「うん!」
風間もそう思ったのか、カズの手を引いてさっさと部屋を出て行こうとする。
「風ぽん!」
「相葉ちゃん、後でね」
雅紀が慌てて呼び止めたけど、風間は笑顔で手を振って。
「えー、風ぽーん…俺たちももっとこう…何かないの…?」
あっさり置いて行かれた雅紀はさみしそうで、ちょっと気の毒だった。