第12章 雨の日は
-Nside-
ポツポツという音で目が覚めた。
時計を見れば、いつも起きるよりちょっとだけ早い時間。
でも、もう朝なのに部屋の中は何だか薄暗くて。
カーテンを開けてみたら、どんよりした空から大粒の雨が降っていた。
今日も雨かぁ…
最近雨が多い気がする。
もうすぐ梅雨入りなのかも。
もう6月だもんね。
ま、梅雨かはわかんないけど、とにかく最近雨が多いんだよ。
前は雨ってあんまり好きじゃなかった。
服や靴が濡れるのもやだし、傘っていう荷物が増えるのもやだし。
暗くてジメジメしてるのもやだった。
でもね、今は好き。
待ち遠しいくらい。
雨の日が大好き。
「いってきまーす…」
「おはよう、カズ」
身支度を整えて玄関を開けたら、そこに居るのが当然て顔をした翔ちゃんが目の前にいた。
なかなか慣れないけど、びっくりはしない。
ドアを開けた瞬間に翔ちゃんに会えるなんて幸せでしかないから。
「おはよ、翔ちゃん♡ごめんね…待たせちゃった?」
「全然待ってないよ!今来たところだから気にしないで?」
どんよりした天気も吹き飛ばせそうなくらい、翔ちゃんは今朝もキラキラしてる。
眩しくて溶けちゃいそうで、思わずぱちぱちと瞬きしてしまった。
でも翔ちゃんはそんな俺には気付かないで、はいって笑顔で傘を差し出してくれるから。
「ありがと、翔ちゃん♡」
俺は可能な限り体をちっちゃくして、翔ちゃんの隣に並んだ。